【アラフォーでスタートアップへ転職して5年で辞めた話】(転職決意編)大手からベンチャーへ

ベンチャー

※読んでくださりありがとうございます。本ブログは2025年12月に閉鎖します。
執筆は、引き続きnoteで続けていきますので、どうぞよろしくお願いします。

こんにちは、OtokuJETです。

37歳の時に、大手を辞めてスタートアップに転職しました。

そして、5年後、起業しました。

こんな話をします。

  • どうして大手をやめてスタートアップの世界に飛び込んだのか
  • 実際にスタートアップで働いてみてどうだったのか
  • どうしてスタートアップをやめて自分でやろうと思ったのか

「このまま大手で働き続けて本当に良いのか?」
「スタートアップに興味があるけど正直不安がある。」
「起業してみたいけど一歩踏み出せない。」

そんな思いを抱えながら日々悶々と過ごしている40代サラリーマンの1人でも多くの人たちが「スタートアップで活躍することや起業することなんて自分が思っているほど難しいことじゃない」と感じて、新たな一歩を踏み出せるきっかけを作ることに貢献できたら嬉しいです。

OtokuJETのキャリア

本題に入る前に私のキャリアを簡単に紹介します。

外資コンサル→大手事業会社→スタートアップ→メガベンチャー。

現在4社目です。自分の会社も経営しています。

コンサル時代は、自分で言うのもなんですが同期の中では最速で昇進し、数年後にはパートナーになるだろうなと思ってました。はたから見たら順風満帆の人生を送っているように見えたと思います。実際、お金には困らないし、激務に見合うリターンややりがいも沢山ありました。

辞めた根源的な理由は「面白くなくなった」から。シニアマネージャーともなると仕事の8割が社内調整。グローバル本社から指摘される「100%会社都合の要求」をハードネゴシエーションと称してクライアントに突きつける日々。誰のために頑張ってるのか分からなくなり、使命感や貢献感が失われつつある中で転職活動をポツリポツリ始めました。

「事業の当事者として仕事をしたい」。今振り返ると、コンサルにはありがちな浅はかな動機でした。単に社内調整に対するストレスから逃げたかった、もっと言ってしまえば社内からの指摘を受けまくる日々が嫌だったんです。根底には、自分の考えていることが絶対的に正しいという盲信と「私のことを認めて欲しい」という子どものような承認欲求があったんです。

転職活動を開始してみると、予想に反して落ちまくり、現年収よりも低いオファーばかり出ました。ポジションも「マネージャー候補」という名のただのメンバー。外コン時代は将来のパートナー候補と周りからチヤホヤされ、同期の中ではトップを走っていた(※)自分の市場価値はこれ程に低いのかと失望しまくったのを覚えています。それでも事業に携わりたい気持ちが強く、経験を買うことを最優先に年収と役職を下げ、大手インターネット事業会社へ行くことに決めました。

※外資コンサルティングファームでは、アナリスト2年、コンサルタント3年、マネージャー3年、シニアマネージャー3年を経て、だいたい35歳くらいでパートナーになると出世頭と言われます

大手インターネット事業会社には3年ほど勤めました。入社後1年でマネージャーになり、将来の経営者候補にも選抜されました。なにより、当事者として事業を作り伸ばしていく醍醐味は何よりも代え難いリターンでした。サービスの本質的な提供価値を見定め、その価値を広く深く提供し続けるための作戦を考え、仲間と共に実行していくのか最高に楽しく、失敗も沢山しまくりましたが、仕事人として一番充実したと思えた3年間でした。

正直、辞めるつもりは全くなかったのですが、突如、経営方針が一変し、携わっていた事業が全て撤退となったことがきっかけでスタートアップやベンチャーへの転職を考えました。どうしても自分の手で伸ばしたかった事業だったので、別の会社でできないかと考えるようになったんです。

大手を辞めるなんて一ミリも思っていなかった

大手インターネット事業会社での経営方針の大幅変更がなかったら辞めてなかったと思います。

それくらい外コンから転職して良かったと思ってました。コンサルに事業責任者の経験が掛け算され、スキルが圧倒的に上がりましたし、来期の部長を期待されるなど充実した毎日を送っていたのに、会社に反旗を翻して辞めるなんてただの中二病と思われるかもしれません。

でも当時は本気で解決したいと思える業界課題にのめり込んでいて、急にそれを取り上げられ、別のことやってくれと言われても従えない自分がいました。夢中で遊んでいたおもちゃを急に取り上げられた時の気持ち。「やりたいことをやる」。衝動的に辞めることを決意しました。大手を辞めることを怖いとは思いませんでした。役職や給料よりもやりたいことを我慢する方が絶対に後悔する、そんな自分の心の奥底から湧き上がった気持ちに素直に従ったんです。

どうしてスタートアップへ転職しようと思ったのか?

転職活動を通じて初めて知った創業4年目のスタートアップにジョインしたわけですが、2社目の転職時同様、役職もつかないただのメンバーとしてジョインしました。給与も10%くらいダウンしました。それでも当時の事業フェーズに鑑みると破格のオファーだったと思います。

ただのいちメンバーとして給与を下げてまでも「自分のやりたいことがやれる」ことに魅力を感じたことが決め手でしたが、それ以外にスタートアップという環境を選んだのには幾つか理由があります。

『意思決定のための仕事』ではなく事業のエグゼキューションに集中したかった

「企画やサービスを新たに始める時にほぼ必ず発生する経営会議での意思決定」。意思決定のために大量に作成する資料やデータ分析や根回しなどの仕事。大企業時代と比べてこうした「意思決定のための仕事」の量が圧倒的に少ないと感じました。事業の推進にどっぷりハマりたかった私にはこれ以上ない環境だったんです。

外コン時代、辞める直前の仕事がとある案件のセールス責任者だったんですが、社内調整が凄まじく大変でした。提案金額が10億以上と規模の大きさによるところもあったと思いますが、提案内容・見積・契約条件に対する関連部署によるレビューがエグく、承認得るための資料作成や説明・質問対応に忙殺されまくっていました。酷い時は週の半分以上を「意思決定のための仕事」に使っていて、上司に愚痴ってたら、それでもましな方だということが分かり、「意思決定のために必要な仕事」に自分の時間を投資している場合じゃないと思って辞めたんですよね。

また、大手インターネット事業会社時代も、とあるフィジビリティスタディの企画で200万の投資承認を得るために、企画内容とは直接関係のない過去の振り返りも含めた経緯説明(その時、私はそもそも在籍していないから知らんがなと)を何回も求められ、経営会議で5回説明してやっと承認!みたいなこともありました。

「意思決定のための仕事」が不要であると主張したい訳ではありません。

意思決定プロセスを明確にし、プロセス通りに運用することは上場企業の内部統制のあり方としては当然ですし、社内の全ステークホルダーとコミュニケーションをとった上で納得感の高い意思決定をすることが実行フェーズにおいてプラスに働くことも大いにあります(「経営会議で決まった」からというお墨付き)。企画内容に対して様々な立場の人たちからフィードバックを貰うことで、企画の精度が上がり、成功確度が高まったり、よりインパクトの大きな企画に変貌する効果もあります。経営陣からの厳しくも本質を射抜くような指摘に揉まれることで、起案者の合意形成スキルも磨かれます。

私が怖いと感じたのは、意思決定のための仕事が増えるにつれ、当事者として事業を推進していく情熱やパワーが徐々に削がれていく自分に気づいてしまったことです。サービスの受益者たる顧客のためではなく、会社を納得させるための資料作成・調整・会議が増え、どんどんエネルギーを失っていった自分がいました。「これはまずい」と(ちなみに私は社内調整が比較的得意でした)。「その程度でやる気が削がれるなんて本当にその企画をやりたいと思ってない、当事者意識が足りない」というフィードバックを貰ったこともあります。その通りだと思います。会社のお金やリソースを使わせてもらって自分のやりたい企画をやらせてもらうわけですから、ステークホルダーに説明責任を果たし、承認を得ることは当たり前です。要は程度の問題で、「意思決定のための仕事」の量が当時の自分の器を越えてしまったんですよね。

大手での経験とスキルは間違いなく活かせる

もう一つは、大手での経験やスキルは間違いなく活かせる場面が多いと感じたことです。

例えば、事業フェーズを「0→1」、「1→10」、「10→100」の3つに分けたとします。各フェーズで重要となるメンタリティとスキルセットは違います。人によって定義はそれぞれですが、私の経験上、

  • 「0→1」:課題とソリューションがフィットするまで行動し続けられる好奇心と情熱、何回も仮説検証を繰り返せる回復力や切り替え力
  • 「1→10」:事業を構成するどのレバーを引けば事業がスケールして利益が出るのかの勝ち筋を確立させる戦略思考と実証力
  • 「10→100」:勝ち筋に従ってKPIを達成するための自律的な組織と仕組みを構築するマネジメント力

という整理がしっくりきています。

伸び盛りのベンチャーが直面しているフェーズは「1→10」or「10→100」です。外資コンサルティングや大手インターネット事業会社で得た経験やスキルが全て活かせる領域という確信がありました。

スタートアップで実績を出せばキャリアの選択肢が増えると思った

最後は、下世話な話かもしれませんが、スタートアップで実績を積み重ねていき取締役/CxO/執行役員になれば、キャリアの選択肢が間違いなく増えると思ったことが理由です。

外コンから事業会社へ転職した時に直面した「想像以上に自分の市場価値が低かった」最大の理由は、「1つの業界✖️コンサルティング」というごく一部の領域でしか経験を積んでいないことでした。例えるならば、「宿泊業界✖️エンジニア」の経験しかないのに「小売業界✖️マーケティング」の領域に挑戦するようなものです。もちろん、論理的思考力や分析力、コミュニケーションなどのポータブルスキルは活かせるでしょうが、それ以外に転職直後に会社に貢献できるスキルがなかったってことだったんです。

スタートアップやベンチャーはだいたい事業の拡大に組織の成長が追いついていません。私がジョインを決めた創業4年目のスタートアップも、仕組み化やピープルマネジメントにおいて分かっていてもできていないことが沢山あることを面談で聞いていました。やりたいことがあるけど全然手が回っていない状況のベンチャーで数年働いて成果を出せば、その後のキャリアの選択肢は比べ物にならないくらい広がるに違いないと思いました。

次回

次回は、ベンチャー転職後、半年間苦労した話と部長に抜擢された話ができればと思っています。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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