【アラフォーでスタートアップへ転職して5年で辞めた話】入社直後のスタートダッシュを成功させる秘訣

転職

こんにちは、OtokuJETです。

37歳で創業4年目のスタートアップへ転職し、スタートダッシュで転びかけながらもなんとかテープを切り、部長に抜擢された話です。

※話の流れを掴みたい方は「【アラフォーでスタートアップへ転職して5年で辞めた話】(転職決意編)大手からベンチャーへ」をご覧いただけたらと思います。

最初のミッションで成果残せず

ジョインしたスタートアップはSMB(Small and Medium Business : 中堅中小企業)向けに業務支援ツールを提供するSaaSカンパニーで、国内外の有力VCから立て続けに資金調達を完了してました。ジョイン当時のステージはシリーズBです。

大手競合が無料で類似サービスを展開する中、秀逸なプロダクトUIとブランディングで創業4年目にしてTAM(Total Addressable Market)の10%を獲得し、業界インフラになるべく更なるシェア拡大を画策中でした。

私の最初の肩書きは「営業企画」で、役割はシェア拡大のための新たな営業手法の開発と販売促進の企画・推進。ファーストミッションは「営業効率の高い営業手法を開発し、地方の顧客開拓スピードを早めること」でした。

半年かけて、既に立ち上がりつつあったデジタルマーケティングとインサイドセールス以外のあらゆる施策を試しましたが、一つも上手くいきませんでした。地方の代理店開拓、商工会議所や業界団体の活用、全国に拠点を持つ女性ラウンダー派遣会社との提携など、実際に座組みを組んで経済条件も合意して試験的に始めつつも、安定したSQL(セールスクオリファイドリード : 営業がフォローしたいと思う見込み顧客)数も十分に見込めず、見込み顧客獲得コストも許容範囲を超える状況が続き、見事にミッション”イン”コンプリートに。行動力◎だったけど成果✖️という結果でした。

実はこの結果、想定通りでした。ミッション推進に着手する前から、デジタルマーケティング✖︎インサイドセールスの磨き込み以外で、地方に特化した新しい営業手法開拓は経験的に「上手くいかないな」と思ってましたから。プロダクト単価が月額1万円/アカウントと安すぎる上、機能が多くセールストークの習熟コストが高いため、販売代行する側にとっては「美味しくない商材」だったからです。自社事業の競合優位性に大きく寄与する等、よほどインパクトのあるシナジーが作れない限りは「他社が我々のプロダクトを売る動機は弱い」と考察してました。

ただ、入社したばかりで信頼残高ゼロの私が自分の勝手な仮説だけで「やるの無駄だからやめましょう」と進言しても受け入れて貰えないと思い、考えつく限りの施策を実行し、「上手くいかなかった」結果と振り返りを全社向けに発表したのです。

別の課題を見つけ、成果を出す

ファーストミッションの達成が、案の定、雲行き怪しくなってきた時、何か他にP/Lヒットする貢献ができないかと課題を探し始めました。入社直後の短期決戦で分かりやすい成果を出し、人生初のスタートアップでのキャリアに弾みをつけたかったからです。

しばらくして、P/Lにダイレクトヒットする2つの課題を発見し、解消するためのアクションをとり始めました。

1つ目はコスト削減です。当初ミッションの推進を通してSaaSの営業効率を評価するCAC(Customer Acquisition Cost : 顧客獲得コスト)の上限を算出していた私は、CAC上限を大きく上回っていた「採算の合わない」大型代理店が存在することを発見し、経営陣に提案の上、契約解除を推進しました。結果、年間数億の販管費が削減できました。

もう1つは売上貢献です。何か手を打たなければMRR(Monthly Recurring Revenue : 毎月繰り返し発生する売上)が目標未達になる期末二ヶ月前の状況において、新しいオプションサービスの先行案内&期間限定無料キャンペーンの効果検証と本番展開を行い、期末最終月に有料化によるMRRを積み上げ、目標達成に貢献しました。

営業部長への抜擢

入社後半年間の一連の動きと成果が認められ、翌期に営業部長に就任することになりました。セールスとカスタマーサクセスのマネージャーやリーダーがいる中での3段飛ばしの昇格であったため、抜擢の要素もあったと思います。

実は、内定時のオファーは、遅くとも一年以内にマネジメント職に上がれなければ給与ダウンの可能性が示唆されていた「条件付きオファー」でした。前職から給与を落としたにも関わらず、会社の給与規定上、マネジメントポジションにしか払えない給与額だったということです。

ある意味この条件付きオファーはリスクでした。一方でチャンスでもあったのです。成果を出せば一年以内にマネジメントに任用される機会でもあったからです。

実際、ファーストミッションで著しい成果は出せなかったものの、その他のことで成果を出すことができ、評価され、来期の営業部長任用へと繋がったのです。

入社直後のスタートダッシュでなんとか成果を出せた理由

今振り返ってみると、ファーストミッションで躓きながらもスタートダッシュに成功し、一定の成果を残せた要因が幾つかあると思ってます。

要因①うまくいかなそうなミッションでもとりあえずやってみた

まず、始まる前から上手くいかないと思っていたことを全力で実行し、「上手くいかなかったことを実証した」ことと、「上手くいかなかった原因を分析した」ことかなと考えています。

スタートアップ、特にステージBやCあたりの会社が、事業を伸ばしていくために一番大切なことは?と問われれば、迷わず「仮説検証スピード」と答えます。仮説の確からしさを検証により明らかにしていくスピードです。仮説を検証するので、当然、仮説通りにならないこともあり、「仮説と違った」という結果を得ることもママあります。でも、これも一つの成果なのです。ルートAとルートB、どっちに行く?議論を会議で議論し続けるよりも、少しだけルートAに進んでみて「ルートAはイケてそうだ/やめといた方がよさそうだ」を判断する方が早くて確実です。

私のファーストミッションで言えば、「圧倒的に高い自社シナジーがあるか、販売手数料を3倍くらいに上げないと、地方専属の代理店活用は営業効率が悪い」という仮説検証の結果により、「安易に地方の代理店を活用しまくるのはリスクが高い」という経営の意思決定の質とスピードを上げる貢献ができたのだと思います。

「やる前から上手くいかないと決めつけてやらない」よりも、「やってみたけどやっぱり上手くいかなかった」の方がスタートアップやベンチャーでは評価されますよ、ということです。

要因②ミッション以外の課題を積極的に掴みにいった

2つ目は、常に短期で成果をあげられそうなネタがないか情報収集を怠らなかったことと、ミッション外のネタでも積極的に掴みに行ったことが挙げられます。

スタートアップやベンチャーでも、ステージにもよりますが(シードやシリーズAの会社だと評価制度未整備がデフォルトです)、大手同様に評価制度が”一応”あります。四半期や半期でOKRを設定し、その結果に基づいて”それっぽく”運用されています。”一応”とか”それっぽく”を添えたのは、大手と比較するとよくも悪くも厳密な運用がなされていないからです。厳密な運用がスタートアップの環境に適していない、と言ったほうが適切かもしれません。OKRにはメリデメがあり、一定期間内のミッションと成果に基づく評価がしやすい一方、上司のミッション設計スキルが低いと評価が上振れ下振れしがち、且つミッション外のことをやらなくなりがち、というデメリットがあります。

変化の激しいスタートアップでは文字通り、ミッション外のことが多発します。当然ミッション最優先ですが、周りに落ちまくっているミッション外のことを拾って解決すると周りから喜ばれること間違いなしです。なぜなら「誰もやろうとしないから」です。上司から新たなミッションの指示を待つのではなく、気前良く積極的に周りに転がりまくっているたくさんの課題を一つでも解決してあげると株が上がるし、PLにダイレクトヒットするような課題を解決すれば「この人は視野が広く、担当外の課題も積極的に解決しに行く経営目線で仕事ができる人だ」と思ってもらいやすいです。

要因③不明点は積極的に人に聞きつつ、同時に人間関係も作っていった

実は一番大事なことが「人に聞きまくって、仲良くなる」ことだと思っています。大手とスタートアップで大きな差があるのが入社後の研修やオリエンテーションの充実度です。私のケースでは、1日目にPCやツールの設定マニュアルを渡されて、あとは「いってらっしゃい」よろしく研修など何もありませんでした。加えて、参考になる資料は体系立てられておらず、検索しやすいように整えられてもいません。

結局、仕事に必要な情報は自ら周りに聞いていかないとゲットできません。上司に聞いても現場の詳細は分からないことが多く、「あの人に聞いてみて」となりがちです。とにかく、知らない人にも積極的に話しかけ、教えてもらい、協力してもらえるような関係を作れる人間力が最も大切になります。

スタートダッシュ成功のための秘訣3選

最後にまとめです。

・スタートアップに転職後、スタートダッシュに成功するための秘訣は3つ

〈秘訣①〉
上手く行かなそうなミッションでもとりあえずやってみる。
 - 「上手くいかなかった」結果も一つの成果
 - 信頼残高がない状態で評論するのは自身の株を下げるだけ

〈秘訣②〉
担当外の仕事も拾いにいく
 - 誰もやろうとしていないところに、成果につながりやすいネタ多し
 - 成果あげれば周りからの信頼も得られるし、マネジメント視点がある人と思ってもらえる

〈秘訣③〉
人とコミュニケーション取りまくって、仲良くなる
 - 仕事に必要な情報は人に聞くのが一番早い
 - 知らない人にも積極的に話しかけにいこう
 

次回は、スタートアップの営業部長として直面したさまざまな課題と失敗ついて話したいと思います。

コメント

タイトルとURLをコピーしました